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短期前払費用

 前払費用とは、会社等が一定の契約により継続的に役務(サービス)の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の日においてまだ提供を受けていない役務(サービス)に対応するものをいいます。
 前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上しておき、役務の提供を受けたときに費用にすべきものです(原則処理)。つまり、前払費用は、原則としてその事業年度の費用にはなりません。しかし、前払費用の中には、地代家賃、保険料、支払利息など、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものがあり、このような短期前払費用については、継続して適用することを条件に、その支払時点で費用(損金算入・必要経費)にすることが認められます(短期前払費用の規定)。つまり、節税となります。
 ただし、収入と直接的な関係にある費用については、適用対象外となります。例えば、借入金を預金や有価証券などに運用するといった、借入金とその運用とがひも付きになっている借入金の支払利息のように、収益と対応させる必要のあるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で費用にすることは認められません。
 なお、前払費用は、一定の契約により支出した費用であることが前提条件となります。この条件は、短期前払費用についても同じです。そのため、契約の内容と実際の支払い方法が異なる場合は、短期前払費用の規定(支払時点で費用)を受けることが出来ません。例えば、契約では「前月末までに翌月分の家賃を支払う」となっているのに、あえて1年分の家賃を支払うようなケース。このようなケースの場合、契約の内容と実際の支払い方法が異なるため、短期前払費用の規定を受けることが出来ません。ですから、この場合、翌期(翌年)以降に役務提供を受ける部分は、前払費用とし、翌期において費用処理をします。
 
(短期)前払費用のQandA
 (前提条件)3月決算の会社
    
Q@:駐車場代金を賃貸借契約によって、翌月分を当月末までに支払っている。
A@:支払い時に費用にすることができます。
   
QA:駐車場代金を賃貸借契約によって、3月から翌年2月分までの1年分を3月25日に支払っている。
AA:全額、支払い時に費用にすることができます。
    
QB:駐車場代金を賃貸借契約によって、4月から翌年3月分までの1年分を3月25日に支払っている。
AB:全額、支払い時に費用にすることができます。
 短期前払費用の通達(法基通2−2−14)は、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの、となっております。そのため、3月25日(支払った日)に翌年の3月31日(役務提供期間の末日)までの分を支払うと、厳密に言えば、役務提供期間の末日(翌年の3月31日)がその支払日(3月25日)から1年を数日分超えることになります。
 しかし、数日間のズレは許容範囲だと考えられます。数日間とは、決算締切日の通達(法基通2−6−1)を、類推解釈し、おおむね10日以内と考えられます。
    
QC:駐車場代金を賃貸借契約によって、4月から翌年3月分までの1年分を2月25日に支払っている。
AC:全額、前払費用となり、支払い時には費用にすることができません。
 最後の役務の提供が支払った日から1年を越えるので、全額が当期の費用となりません。
 


 
QD:駐車場代金を賃貸借契約によって、3月から翌々年2月分までの2年分を3月25日に支払っている。
AD:本年3月分だけが費用にすることができます。翌年3月分までが当期の費用、翌年4月以後の分を前払費用とするのは間違いです。なぜなら、短期前払費用に該当する条件は、役務の提供期間が1年以内であるものに対しての支出であることだからです。短期前払費用に該当する以外は、原則的な処理をすることになります。
   
QE:4月以後半年間のテレビCM料金を3月25日に支払った。
AE:全額が当期の費用となりません。前払費用は継続的な役務提供の対価の場合です。テレビCM料金は、一定の時期に特定のサービスを受けるために前もって支払った対価であり、前払金に該当します。
   
QF:雑誌購読料として、4月から翌年3月分までの1年分を3月25日に支払っている。
AF:全額が当期の費用となりません。一定の契約に基づき継続的に物品を購入することにより生ずる費用に係るものであり、前払金に該当しますので,短期の前払費用の取扱いの適用はありません。